ヤマハの至宝といわれたVMAX

一つの時代の終了

バイク好きの間で、2017年に悲しいニュースが発表されました。
それはヤマハのVMAXの生産が2017年8月に終了するというものです。

1985年に発売されて、実に30年以上の間オートバイファンの心をつかんで離しませんでした。
しかし徐々にその人気も下降局面に入りました。

ちなみに最終年の2017年の生産台数は120台を予定しています。
この数を見ると、多くの人が競うようにして購入するのであっという間に完売してしまうのではないかと見られています。
生産台数を見ると、一つの時代が終わったかのような寂しさを感じる人もいるでしょう。

怒涛のパワーが魅力の理由

VMAXがなぜここまでのロングセラーになったのか、それはパワーに尽きるでしょう。
オートバイの世界では並外れた存在感があります。
いかにもパワフルそうな大きなフォルムに、期待にたがわない暴力的な加速力、この特徴に胸熱くした人も多いでしょう。

VMAXは北米向けの輸出モデルとして開発されました。
初代はV8エンジンが搭載されました。
これは当時アメリカの主流だったエンジンです。
このエンジンが、力強い加速を生み出します。

新型は現代的なテイストも

2008年には新型のVMAXが投入されました。
こちらはボディに改良が加えられました。

初代はスチールフレームを採用していました。
ところが新型はアルミダイヤモンドフレームを新たに導入しています。
剛性がアップしたことで、暴力的なエンジンパワーをしっかり受け止めることができます。

さらにフロントフォークにはチタンコーティングに改良しました。
加えてリンク式のモノクロサスペンションを採用することで、より安定感のある足回りに変身しました。

エンジンはそのパワーはそのままに、コンパクト化に成功しました。
このため、前方の重みが軽減されたことでマシンバランスが改善しています。
フロントタイヤにかかる負担もだいぶ軽減されました。

非日常を体現できるマシン

VMAXは実用性という部分はあまり重視していません。
日常街中を走行するにあたって、VMAXのようなパワーはほぼ必要ないでしょう。
ライダーによっては手に余るほどのパワーかもしれません。

しかしVMAXの開発にあたってヤマハのスタッフは「人生を豊かにするものであれ」をスローガンとして打ち出しました。
人生は何もすべて効率的である必要はないでしょう。
回り道をしたところに楽しみやヒントが隠されていることもあります。

VMAXは普通では考えられない乗ったときのフィーリングがあります。
しかしだからこそツーリングすることで、非日常的な空間に触れられます。
そこにバイクファンはスリルを感じ、ロマンを求めていきました。
結果的にロングセラー商品となり、今後名車の一つとして多くの人の記憶に焼き付けられるでしょう。

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